夏の暑さが本格化する頃、青森県十和田市では、ある光景が見られるようになります。
それは、色とりどりのアイスをバラの花のようにコーンに盛り付けた「10色アイス」を販売するリヤカーの姿。私が初めてそのリヤカーに出会ったのは、十和田市に隣接する野辺地町でした。
道路脇に佇むリヤカーを見つけて大興奮したのを憶えています。
十和田の名物アイス
通称:花火アイス。「10色アイス」を販売するのは、商(あきない)ハタケヤマ。創業42年、十和田市を中心にリヤカーで移動販売するアイスクリーム屋さんです。先代は青果店を営みながらアイスを仕入れて売っていたそうですが、約40年前から夫婦でアイスを作り始め、今ではこのユニークな10色アイスで多くの人を魅了しています。現在は、息子さんが事業を継承しているとのこと。(よかったよかった…)
リヤカーには「10色アイス・六色アイス」ののぼりがはためき、鐘を鳴らしながら市内を巡回します。この、どこか懐かしい鐘の音は「チンチンアイス」の愛称で親しまれ、地元の人々に夏の到来を告げる風物詩となっています。
花火アイス(10色アイス)を実食
そして、いよいよ実食。10種類のアイスは、まるで虹色のパレットのよう。一口食べると、秋田のババヘラに比べて、味が濃く、それぞれのフレーバーが口の中で花火のように味が広がります。それでいて、氷菓ならではのさっぱりとした後味。昔ながらのサクッ、シャリッとした食感もたまりません。アイスクリン特有のおいしさです。このおいしさは3種類の砂糖とゼラチン、バニラ香料を独自の配合で作り上げ、気温に合わせて材料の配分を変えるという、長年の経験とこだわりが生み出す奇跡の味なのです。
商ハタケヤマの花火アイス 手作りセット
実は最近、私もこの10色アイスの盛り付けに挑戦させてもらいました。
10色のアイスとヘラ、コーンが1セットになっています。
コーンに土台をつくり、その上にカラフルなアイスを盛り付けていく。
10色アイスの盛り付け方については、以下の動画をご覧ください。
見ていると簡単そうに見えますが、やってみると、これが至難の業!
何度か練習をするうちに、それっぽく盛れるようにはなるが、綺麗な花型にはならない。
比較してみると、この通り。花のつぼみのようになってしまうのです。
きれいに花型を作るには、熟練の技が必要で、素人ではなかなかうまくいきません。あの美しいバラの形は、まさに職人技の結晶なのです。
どこで食べられるの?
10色アイスは、十和田市官庁街や十和田美術館前、五戸ひばりの公園、下田白鳥公園など、様々な場所で販売されています。運動会時期には学校、青森ねぶた祭りなどでも出店しているそうです。
近年、交通法などの関係で路上販売や移動式のスタイルは規制が厳しくなってきています。しかし、このリヤカー販売というスタイルは、都心では考えられない、地方ならではの文化。昭和の時代を感じさせる風景と共に、この伝統文化をどうか長く続けてほしいと願わずにはいられません。
秋田のババヘラアイスは全国的に有名ですが、十和田の花火アイスはまだ知名度が低いのが現状です。間違いなく、日本一映えるアイスクリンです。青森県十和田市を訪れた際は、ぜひこの虹色のアイスを味わって、忘れられない夏の思い出を作ってください。そして、この味が、日本を代表するご当地アイスとして、もっともっと有名になることを心から願っています。
名称:『商(あきない) ハタケヤマ』
10色アイス(花火アイス):500円(税込)、六色アイス:400円(税込)
販売時期:4月下旬〜10月末
営業時間:9:00~17:00
販売場所:十和田市官庁街、十和田美術館前、五戸ひばりの公園、下田白鳥公園、三戸城山公園、十和田道の駅、田代平、三沢ビートルビーチ平内、野辺地などでリヤカーにて販売
※価格は2024年12月現在の価格となります。実際の販売価格については購入前にご確認のうえ、ご購入ください。