専門特化型キュレーションコマース

専門分野に特化したEコマース市場は今後益々盛り上がっていきそうだ。先月アイスクリームに特化したEC「房蔵總本舗」をスタートしたが売れ行きはそこそこ好調。アイスクリーム通販の持つポテンシャルの高さをあらためて実感しています。もちろん新型コロナの影響で巣ごもり消費で需要が高まっていることもあるが、それを差っ引いたとしても、なかなかだと思う。

現在、EC業界で盛り上がっているメディアコマース(メディア+Eコマース)というかたちに、さらにKOL(Key Opinion Leader)の要素を加えた“キュレーションコマース”にすることで成功率は格段に上がる。KOLとは中国SNSで注目されているある特定の分野で活躍する専門家インフルエンサー KOL(Key Opinion Leader)のこと。

SNSの浸透によって個の時代が到来。それに伴って特定のカテゴリに特化して情報発信をする人(専門家)も増えてきた。(マツコの知らない世界の影響も大きい)しかし”その道”1本で食べていくとなるとそう簡単な話ではない。正直な話、評論家・マニアを名乗ってメディアにバカスカ出たとしても、たいしたビジネスにはならない。YouTuber が “楽な仕事” ではないということも少しずつ浸透してきているようだが、“マニア道”も例外ではない。もちろんマネタイズなど関係なく一生趣味として活動ができれば十分…というのであればまったくもって問題はない。しかし、その道を“本業”にしたいという人は、色んな事業にチャレンジしていくしかない。では、専門分野で生計を立てていくにはどうしたらいいのか。

専門分野をビジネスに活かす

専門分野を本業にして生計を立てていくために一番必要なのは、やはり覚悟と思い切りの良さだろう。そんな心構えを語っても仕方ないので具体的にどんなスキルが求められるのかを考えてみたい。専門分野を極めるにはスポーツで結果を出すのと同じように考えるとわかりやすい。腕や足など(一部分)だけをひたすら鍛えるのではなく全身を鍛えていかなければ結果に繋がらない。専門知識の勉強はもちろん、企画力、営業力、トーク力、マーケティング力、プロモーション力などが求められ、SNSなどのツールも活用できなければならない。そういった要素・スキルをすべてを高めていかなければビジネスは成立しない。ひとつの事だけやればいいということではなく、ひとつの分野に集中して色んなスキルをつけていかなければならないのだ。

僕自身の場合はアイスクリームの活動を10年以上続けてきた。ブログの他、SNSでも情報発信をして、さらにイベントも開催している。アイスの活動をする前はweb制作や通販サイトの運営代行等を事業として行ってきたこともあり、その経験が幸い今になって活かすことができている。

個人的に、これからは専門特化型のECはアツいと思っている。実際周りを見渡しても〇〇好きとして情報発信していた人たちが最近ECを次々にはじめている。今後専門カテゴリを決めて活動をしていこうと思っている人は、”自分の専門とする活動が通販事業に繋げられるか”というのもひとつのポイントとして考えてもらいたい。

ECをはじめる際、集客を考えるとスタート時はショッピングモール(楽天、yahooストア)に出展したほうがそれなりに広告費はかかるが確実に売上が見込める。独自サイトで通販をスタートしてもまず集客ができないため、成果が出せずに終了してしまうパターンがほどんどだ。僕がEC運営代行をしていた頃(10年前くらい)だとモールと独自で計3店舗を運営した売上割合は大体、楽天:6割、Yahoo!ストア:3割、独自サイト:1割といった構成だった。昔はモール開設自体のハードルが高かったが最近は初期費用やロイヤリティも撤廃され、立ち上げのハードルも随分低くなった。しかしモール側の収益は「店舗からの広告枠」で成り立っている。売上を伸ばすためには当然広告を出さないと良い結果が得られないのが実情だ。

実績を積んでいない状態で「BASE」や「STORES」といった新興系ECプラットフォームを使ってビジネスをはじめようとしても売上を立てることは非常に厳しい。しかし、専門分野である程度の実績を積むことができれば独自ECでも十分勝算はあると思う。自身のSNSアカウントなどから集客し、効率的にお店にアクセスしてもらえる。また、広告もPPCなどに大金を払わず、限られた予算でFacebook & Instagramのターゲティング広告、リターゲティング広告などを行うこともできる。

僕らが立ち上げた「房蔵總本舗」はオープンソースを使って構築した独自ECだ。独自ECで懸念されるセキュリティ、個人情報等に関しては、Amazonpayや楽天payを実装することでクレジットカード情報等をサイトに保有しなくても運用ができる。カード情報の漏洩リスクを回避できるほか消費者側の個人情報やセキュリティに関する不安も取り除くこともできる。

今さらEC?と思う人が多いかもしれないが、アイスクリームのEC市場はまだ夜が明けたばかり。きっとこれから徐々に盛り上がっていくだろう。アイスクリームに限らず、現在ECがうまくいっていない業界であれば(〇〇の通販であればここ!という代表的なサイトとして認識されているところが無ければ)チャンスは十分にあると思う。マネタイズやビジネスモデルなどを考えることが苦手な人にとっても、ECシステムそのものが「仕組化」されているので非常におすすめだ。

7年ほど前から、テレビでも〇〇マニアを紹介する特集が増え、それに伴い特定の分野で活動をしている人も激増している。そんな〇〇マニアな人は「ブログ」や「YouTube」はもちろんのこと、こういった専門特化型のキュレーションメディアコマースを立ち上げて運用してみてはいかがだろうか。

そして、まだ専門分野を決めていないという人は、まずは市場をリサーチし、自分の専門分野を徹底的に考え、専門家インフルエンサー KOL(Key Opinion Leader)を目指して活動をはじめてみよう。

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