どうも!アイスマン福留です。
今回は、外国人観光客の間で話題になっている “ホットなアイス” をご紹介します。
日本のコンビニエンスストアは世界的に見ても非常に高いレベルを誇り、その豊富な品ぞろえと商品の品質は多くの外国人を驚かせています。特に、パン、お菓子、アイスクリームなどの品質の高さに関する報告や感動の声が、SNSを通じて次々に寄せられています。
日本人は、外国の文化やサービスを取り入れ、それを独自に進化させる能力に長けています。この点で、セブン-イレブンは特に顕著な例と言えます。元々アメリカ発のセブン-イレブンですが、1991年2月には経営危機に陥ったアメリカ・サウスランド社(現7-Eleven, Inc.)を救うため、イトーヨーカ堂とセブンイレブン・ジャパンが資本参加し、商品開発から陳列方法、店内照明、販売促進、接客サービス、さらに外装・内装のデザインに至るまで、幅広い分野で徹底的な指導と支援を実施。これにより同社は黒字転換を達成し、「アメリカ戦後最大の再建劇」として高く評価されました。このように、日本のコンビニ業界は、国内外から高い評価を受けており、その独自性と高いサービスレベルが世界中から注目される理由です。
競争が生んだ世界トップクラスの品質とサービス
国内では、セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンをはじめとする日本のコンビニエンスストア間の競争が激化し、ライバル同士の切磋琢磨が品質やサービスの劇的な向上を促しました。日本の消費者の厳しい目も日本のコンビニ全体のクオリティを世界トップレベルに引き上げる重要な役割を果たことも間違いありません。この背景によって、外国人観光客による高品質な商品を提供する日本のコンビニへの高い注目につながっています。
BRULEEが外国人観光客に大人気
最近のアイスクリーム売場ではオハヨー乳業の「BRULEE(ブリュレ)」(以下「BRULEE」と呼ぶ)が外国人向けの宣伝POPとともに大量に入荷される様子が目立っています。
外国人を魅了する日本アイスクリームの新星
BRULEEは外国人観光客に人気で、さまざまな理由から注目を集めています。高級感溢れるパッケージ、製品の品質の高さ、そしてアイスの表面を割って食べるという独特の体験が、海外のアイスクリームでは決してあじわえない特別な価値を持っているのでしょう。
2023年の猛暑により、アイスクリーム類の売り上げ全体が上昇しましたが、プレミアム製品の売り上げは伸び悩んでいました。それにもかかわらず、「BRULEE」は128%の売り上げ増を達成し、特にインバウンド客が多いエリアで週に100個を売り上げるなど、絶好調を維持。オハヨー乳業 広報チームリーダーの野崎雅徳氏によると、「BRULEE」の人気が急上昇した背景には、特にコロナ後にSNSでの投稿が増えたことがあります。インバウンド需要の増加に関する明確な時期を示すデータはありませんが、過去数年間で徐々に海外からの投稿が増加し、コロナが収束した後、その傾向がさらに加速したとのことです。
ジャパニーズアイスクリームの魅力
日本で「BRULEE」の人気が高まっており、特に台湾や韓国の人々の間で注目されています。これを取り扱うコンビニやドラッグストアからは、ハングルの宣伝用POP作成の依頼が増加しているそうです。この人気の理由として、韓国のアイドルやインフルエンサーの絶賛によって、じわじわと話題となっています。
パリパリ感と香ばしい焼き目で魅了する、アイスクリームの新境地
オハヨー乳業によって開発された「BRULEE」は、アイスの表面を独自の製法で焼き上げ、ブリュレ特有のパリパリとした食感と香ばしくほろ苦い焼き目を実現しています。焼き目に使われる砂糖は20種以上から厳選し、独自にブレンドされたもので、そのこだわりが際立つ味を生み出しています。
この焼き目の下には、厳選された乳原料を使用した濃厚なミルクアイスが隠れており、そのほろ苦さがアイスの味わいを一層引き立てます。アイス部分は、北海道産の高温短時間殺菌生クリームと脱脂濃縮乳を用いた独自製法で作られた、乳業メーカーのこだわりが詰まったミルクアイスクリーム。さらに、オハヨー乳業独自の焼成技術により、専門店のキャラメリゼを思わせる香ばしい香りとパリパリの食感が楽しめるのが「BRULEE」の大きな魅力です。
BRULEE成功への道のり
オハヨー乳業が初めてアイスを焼いたのは1983年のこと。当時、クリスマスシーズンのアイスギフトとして、カタラーナとチョコアイスが2層に重なるドーム型のアイスをメレンゲで包み、ガスバーナーで手焼きして仕上げた商品を発売。この革新的なアイデアは新しいアイスの楽しみ方を世の中に提案しましたが、手作りのため大量生産には不向きであり、数年で販売を終了しました。
しかし、オハヨー乳業はこの失敗にめげず、1996年に再度、アイスを焼くことにチャレンジ。この時の商品名は「焼アイス」という、ど直球なネーミング。以前に同社が「焼プリン」という製品で成功を収めた経験から、ふたたび「焼き」の可能性を模索。西洋の伝統的スイーツ「クレームブリュレ」にヒントを得て、数多の試行錯誤の末、カスタードアイスの上に別の層をつくり、ガスバーナーで直接焼き目を付けることでカラメライズされたアイスを作ることに成功。しかしながら、この食感を長時間維持することが困難であったため、売上は伸び悩み、発売から数年で市場から撤退しました。しかし、この長い試行錯誤の過程は、最終的にオハヨー乳業が「焼き」の技術における深い知見と経験を蓄積する基礎となったのです。
焼アイスへの不屈の挑戦
「焼アイス」の市場からの撤退後、約10年が経過。この期間、オハヨー乳業は「クレームブリュレ風」アイスやソースを楽しむ製品など、様々な新しいアイスクリームを発売していましたが、かつて目指した「焼きアイス」の魅力を超える製品は生み出せていませんでした。しかし、北米のレストランでクレームブリュレを楽しむ人々を見た開発担当者は、「焼き」への新たな可能性を感じ取り、再挑戦を決意。多くの試行錯誤を重ねた末、ついに長時間持続するパリパリ感を実現することに成功。この技術は、製造設備と製法の両面で特許を取得しています。そして2017年、上質なミルクアイスに香ばしいパリパリとした食感の焼き目を加えた本格ブリュレアイス「BRULEE」が完成しました。
プレミアム価格で市場を変革したオハヨー乳業の傑作
オハヨー乳業の「BRULEE」がSNSなどで話題になった瞬間、大きな反響を呼びました。香ばしくほろ苦い焼き目とミルクリッチなアイスクリームの味わいが、特に女性たちの心をつかみ、発売からわずか10日で休売となるほどの大ヒットに。半年間の販売休止を経た後、同年10月に販売が再開され、消費者から大きな支持を受け、オハヨー乳業を代表する人気アイスブランドとして定着。価格が300円と、当時としてはアイスクリーム市場で高価格帯に位置しながらも、その確かなおいしさが多くの人に支持されました。同時にプレミアムアイスクリーム市場の活性化に貢献し、市場全体を盛り上げたことが記憶に新しい。
「BRULEE」は、「アイスを焼く」というユニークなコンセプトに基づき、オハヨー乳業が37年にわたる長い年月と情熱を傾けて開発した革新的な商品なのです。
私自身、今まで日本のコンビニで販売されているアイスクリームをはじめ、世界中でさまざまなアイスクリームを味わってきましたが、日本のアイスクリームの品質は世界トップクラスであることが明らかです。この「BRULEE」の成功は、一過性の現象にとどまらず、「ジャパニーズアイスクリーム」の価値と魅力が、今後も世界中に広がっていくことでしょう。